お知らせ

2017/03/28

2月17日(金)、大洲市総合福祉センターにおいて、大洲市くらしの相談支援センターふくし支援研修会を開催しました。今年度は、『だれもが共に暮らせる豊かな地域をめざして~だれもが必要とされ、助け合えるつながりを~』をテーマとして、地域の福祉・ボランティア関係者、生活困窮者自立支援制度(※1)に関心のある方等を対象に行いました。

平成27年度から、経済的な困窮に限らず、何らかの生活のしづらさを抱えている方の相談支援を行うため生活困窮者自立支援制度(以下、同制度)を法律化しています。

相談者のなかには、経済的には困っていないが、就労を継続することが難しい。子どものことで悩んでいる。保証人の確保ができず、住居の確保が難しい方など、様々な生活課題を抱えられている方がみられます。

大洲市においても同様の相談もあり、また、全体の3割は住民税非課税世帯であり、ちょっとしたことで経済的に困窮する可能性が考えられます。

そこで今回は、釧路市において生活困窮者自立支援制度のモデル事業を全国で先駆けて取り組まれており、同制度の厚生労働省特別部会委員も勤められている、一般社団法人 釧路社会的企業創造協議会(以下、協議会)櫛部武俊(くしべたけとし)副代表に釧路市での様々な実践を通して、同制度が目指す地域づくりの視点・支援の在り方についてご講演いただきました。

先生は、23年間釧路市の生活保護行政に携わり、平成16年には、母子世帯を対象にした生活保護自立支援『釧路モデル』(※2)作成をけん引されました。

その取り組みでは、生活保護受給者の女性がホームヘルパー派遣世帯に、ヘルパーと同行し、利用者の話し相手になることで、特別な技術や資格が無くても利用者から、「来てくれてありがとう。」と言葉をかけられたことで「今まで人にほめられたことがなく、うれしかった。」とのことでした。第三者から自分が必要とされているという経験が自尊感情・有用感が高まり、就労や自立に対する意欲の向上が図れたということをきっかけに、地域の方や関係機関等と協働してプログラムを開発・展開されてきています。

また、協議会設立後も、生活困窮者の働く場づくり、支援される側が支援にまわる仕組みづくりに取り組まれ、就労移行型インターンシップ事業、そして就労準備支援モデル事業を釧路市から受託し、展開されています。

一つの事例として、釧路市の基幹産業である漁業も、高齢化・人口減少に伴い担い手の減少が危惧されていました。その中でも、特に漁網の整備(整網)作業を行う人材がいないという現状があり、そこに中間的就労(※3)という形でこれまで一般就労が難しい方や就労経験がない方に就労体験・自立へのきっかけとして、整網作業で収入を増やすという取り組みをされています。つまり、担い手のないところを支えるという仕組みをつくることで、地域で支えられていた人が支える側にまわる仕組みです。

その他にも、就労準備支援では、①内職作業(箱折りや運動用具製作、ごみ袋の袋詰めなど)、②企業の見学・体験、③短時間就労(農園の手伝いや観光客の入店数調べ、水産業の箱洗いなど)、そして、④一般就労と、相談者の状況に応じた働く場づくりを支援されています。

就労支援を考えるうえで大切なことは、企業や団体、法人の困りごとをしっかり聴き、相談者の困りごとと可能性をいかにマッチングさせ両者の関係を構築していくかということです。

そして、釧路市では、地域づくりを考える顔の見える関係でのつながりを持とうということで会議を開催し、民生児童委員協議会会長、企業、塾講師、消防所長、基幹相談センター、看護学校先生等、様々な機関・立場の方が集まられています。会議を通じて、①人の話は聴いてみないとわからない。②手をつなぐ相手を責めてはいけない。お互いの良い所を知る。③異業種で何かをやってみよう。ということが重要です。

そういった中で出来上がったひとつの取り組みとして、地域で支え合って暮らす仕組みづくりとして『地域食堂』。対象を限定せず老若男女が、季節の食材を使った料理を一緒に食べ、交流を図る取り組みです。参加者は、小学生から高齢者までが集まり、そこで出た住民の話題・様子から、地域課題を発見することを目的にしています。

大洲市社協においても今後の困窮者支援を考える上で、大変意義深いお話しでした。

同制度では、制度の網目からだれも抜け落ちたり、孤立する事がないように、人を支援していくことを目指し、相談者の状況に応じたオーダーメイドの寄り添い型の支援を目指しています。

本研修会の開催を契機に、今後、地域福祉の充実・推進を図る中では、地域の事は地域の方が一番知っているとの考え方に立ち、地域住民や民生児童委員、市役所や保健師・包括支援センターなど各関係機関がつながり、一人一人に伝える力を強められるよう、そして、大洲の暮らしと仕事がどうなっているのかを見つめなおし、産業・福祉など、お互いの顔が見える関係性のなかで、互いに支え合っていくことができ、「困っている、助けて」と言いやすい敷居の低いまちづくりを目指し、「我が事 丸ごと」で大洲らしい産業、くらし・支援の輪をつくっていきたいと考える研修会になりました。

※1経済的困難や社会的困難で生活の中で困りごとを抱えつつも、今まで相談する場を持てずに来た人に対して、相談窓口を設け、困っている人たちの生活相談に乗り、適切な支援のアプローチを行う制度です。

※2『釧路モデル』での釧路市の取り組みは、就労困難な生活保護受給者を対象に、本人のステージに応じた多様な自立支援プログラム(無償)を用意。

※3中間的就労とは、すぐに一般就労することが困難な人を対象に、就労体験(非雇用型)や、支援付き就労(支援付雇用型)を提供するものです。それぞれの能力や適性、状況に応じて作成した個別の就労支援プログラムに基づき、一般就労に向けた支援を中・長期で実施します。

趣旨説明

花束贈呈

参加者の皆様と記念撮影

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